双極症やうつ病などの治療で様々な薬を試してきたけど、効果をイマイチ感じられない…と悩んでいませんか?
実は、精神科医が「一発逆転療法」と称する治療法があるのです。
それが「修正型電気けいれん療法(m-ECT)」です。
なぜなら、電気けいれん療法(以下、ECT)は、自殺や死の危険性がある方のうつ病や統合失調症にも適応があり、薬物療法の効果が薄い場合に検討される治療法だからです。
ECT経験者である私は双極症と診断されていますが、もちろん双極症への効果も絶大です。
また、同じうつ病などへの治療法として「反復経頭蓋磁気刺激療法(以下、TMS)」があります。
この記事では、TMSとECTをどちらも受けたことのある経験者の方に聞いた、メカニズムの違いや効果の違いをご紹介します。
結論を言ってしまうと、次の通りです。
- ECTは、脳に数秒間の電気刺激を与えて、一時的に脳にけいれんを誘発させる治療法。治療の有効性が高く、治療の効果を感じるのも早いです。
- TMSは、磁気によって頭蓋骨内(脳内)をピンポイントに刺激する治療法。治療の副作用が少なく、治療後すぐに生活に戻ることができます。
それでは、詳しく解説していきましょう。
修正型電気けいれん療法(ECT)について
上の記事でも紹介していますが、ここでも簡単にECTのメカニズムと効果について説明します。
ECTのメカニズム
ECTは全身麻酔下で行われます。
なので、ECT中に怖かったり痛かったりすることはありません。
頭のこめかみ辺りに電極を取り付けて準備をします。
ECT治療器から電流が伝わり、脳に数秒間の電気刺激を与えて、一時的に脳にけいれんを誘発させます。
脳のすべての神経細胞を一度に興奮させるため、全身の筋肉を刺激し、発作を起こしているような状態になります。
この脳内神経細胞の興奮が、数種類の神経伝達物質を放出してうつ病などの症状を改善します。
ちなみにECT前には、リチウムや抗てんかん薬を抜かなければなりません。
炭酸リチウムを気分安定薬として処方されていましたが、今は完全にストップしています。
また、クロチアゼパム(リーゼ)を頓服に出してもらっていますが、ECTの前日から直前までは飲めません。
ECTの効果
私は、ECT入院から退院後3ヶ月間は寛解状態を保つことができました。
発症後13年目にしてはじめての「寛解」だったので、とても嬉しかったですし快適でした!
そこから、じわじわとうつ態へと落ちて、はじめてのECTから6ヶ月後に2回目のECT入院となりました。
現在の入院仲間にもECTを複数回実施している人がいたので、話を聞くと…
1回目から2回目のECT入院まで1年の期間を空けることができました。
今回は3回目ですが、2回目のECT入院からは1年2ヶ月空いたので、このまま期間が少しずつ伸びていってくれればいいなと思っています。
今回のECT入院が2回目ですが、1回目からは半年空きました。
毎回入院で大変ですが、以前経験したTMSより効果があると思っています。
特に、Mさんが言及している「TMS」との違いについては興味深いですね。
ECT直後の副作用と長期にわたる副作用
ECTの直後に頭痛・筋肉痛・めまい・嘔気・嘔吐・恐怖感・錯乱が起こることがあります。
しかし、これらの副作用は数時間以内に消えます。
私は、いつもひどい頭痛に悩まされていますが、午前中にECTを実施した日の午後のラジオ体操に参加されている方もいます。
副作用って本当に人それぞれだなぁと感じています。
少し厄介なのが、長期にわたる副作用(人によっては「後遺症」と表現する人もいるのですが)の記憶喪失です。
ECTの直前や直後の記憶が一時的に失われる「健忘」とは異なり、3〜6ヶ月間もの間、記憶があやふやになったり抜け落ちたりする感覚が続きます。
ただ、この「記憶喪失」や「記憶障害」と言われるものも時間が経つにつれて少しずつ解消され、記憶が戻ってくることもあります。
反復経頭蓋磁気刺激療法(TMS)について
ECTとよく比較されるのが、TMSです。
TMSのメカニズム
TMSとは、「磁気によって頭蓋骨をこえて、脳内をピンポイントに刺激する治療法」です。
特殊なコイルに電流を流すことで磁場を発生させ、その磁場を変化させることで脳の中に誘導電流(渦電流)を引き起こしてピンポイントで刺激します。
それによって動きが鈍っていた脳の一部が変化を起こし、脳の中の神経同士の結びつきが柔軟になること(神経可塑性を高める)で、脳の機能が回復すると考えられています。
一回の治療時間が30分ほどと短く、治療を仕事や家事の合間に行い、治療後すぐに生活に戻ることができるのが特徴のようです。
TMSの効果
TMSを調べていくと「うつ病の治療法」として効果を発揮するようです。
薬物療法の効果が薄かったり、服薬ができない方が対象となっています。
うつ病の症状が重かったり、精神病症状を伴っていたりする場合や、自殺や死の危険性がある場合は、電気けいれん療法を選んだほうがいいと言われています。
精神病症状がないうつ病においては、TMS治療はECTと同等に効果的という検証結果が出ているようですね。
TMSの副作用
TMSは、薬物療法や電気けいれん療法と比較すると副作用が少ない治療法だそうです。
脳の一部分を刺激するため、最初の1~2回は頭痛や刺激部位の痛みを感じる方もいるようですが、回数を重ねるごとに慣れていく方がほとんどみたいです。
まとめ:ECTとTMSは症状に合わせて選択を!
私は前回のECT入院で効果をはっきりと感じたので、今回も迷わずECTを受けることにしました。
ECTが合う人がいれば、TMSが合う人もいます。
それぞれ症状と状況も合わせて、治療の選択をしていきたいですね。
それでは、今日もゆるっと生きましょう〜!
参考にしたサイト
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